タス、データ分析から不動産テックを切り開く--価格可視化手掛け20年

 2000年の設立から20年に渡り、インターネットによる不動産評価と地価マップの情報提供を続けているタスは、不動産テックの先駆け的企業だ。今でこそAIを使った不動産価格の可視化などのサービスが登場しているが、タスが手掛ける「TAS-MAP(タスマップ)」は、国内最大級とも言われるデータに基づき不動産評価を導き出す。紙でのやりとりが多く、データが残りづらいとされる不動産業界で、早くからデータに着目し、独自の不動産テック企業として歩んできたタスの背景や今後の取り組みなどについて、タス マーケティング部部長の中村義隆氏と、マーケティング部データソリューション室長の秋山晋氏に話しを聞いた。

右から、タス マーケティング部部長の中村義隆氏と、マーケティング部データソリューション室長の秋山晋氏
右から、タス マーケティング部部長の中村義隆氏と、マーケティング部データソリューション室長の秋山晋氏

インターネット黎明期に立ち上げた不動産テック企業

――2000年の設立ということで、不動産テックの老舗企業ですね。

秋山氏 2000年の設立当時は、インターネットも今ほど普及しておらず、インフラも脆弱でした。不動産評価サービスのタスマップは当初から運営していましたが、画面の切り替えにも時間がかかり「手でやったほうが早い」と言われてしまうような状態でした。

 ただ、当時の取締役が先見の明があり「これからはITの時代」と言い、この事業を進めてきました。ようやく時代が追いついてきたなという印象です。

――不動産評価の可視化は、不動産テックの中でど真ん中というか、中心的な事業の1つだと思います。書類が多くデータが少ない不動産業界でこの部分を推進することは難しかったのではないでしょうか。

秋山氏 不動産は住居という身近なものもありますが、売買をする機会が極端に少なく、この業界の方でなければ興味が薄い分野。またどの不動産も個性が強く、1つとして同じものはありません。そのためその価値を知るには専門知識が必要でした。

 専門知識の1つとして、価格を知るためのデータがありますが、基準地や過去の不動産取引事例、路線価格、固定資産税と多岐に渡り、データがある場所もバラバラ。そろえようにも手間暇がかかっていました。そこをワンストップでデータ収集ができ、そのデータを客観的に分析することで、不動産評価を導き出すことに成功しました。効率化と正当性のある不動産価格を算出できることが時代の流れにマッチしたと思っています。

――確かに不動産の評価は、売る人、買う人によって異なることがありますし、仲介会社によっても、時期によっても変わる。ベース価格がわかることは透明性を保つ意味でも非常に重要ですよね。以前はベース価格をわかる術がなく、もっと安く買えたり、高く売れたりするのかもしれないと思いながらも、提示した価格に納得せざるを得なかった。

秋山氏 そうなんです。不動産にはこれという正解がない。何をもって正しいのかがわからないのです。軟体動物のようにとらえどころがなかった不動産評価というジャンルに、データを元に算出することで、背骨のある生物にできたかなという思いはあります(笑)。

 もちろん上限、下限ゾーンはありますし、最終的な価格は売り主と買い主の方の合意によって決まることに変更はありませんが、どこかに基準がないと話しが進みません。タスマップを使って1つの指標をお出しできるのは、不動産会社、お客様の双方のお役に立てるのではと考えています。

――タスマップを活用されるのは不動産会社の方が多いですか。

 当初は金融機関向けを想定していましたが、予想以上に不動産会社の方からも引き合いを頂いております。現状では不動産会社の方が多いかもしれません。不動産売買時の価格は、今まで不動産会社の担当者が言葉で説明していましたが、現在はインターネットの普及により情報が氾濫しています。それによって購入や売却を考えているお客様は、本当にこの価格でいいのかと不安になってしまうこともあると思います。そうした時に安心感を持ってプレゼンができる、そんなツールになれているのではないでしょうか。

「TAS-MAP(タスマップ)」
「TAS-MAP(タスマップ)」

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