物件を所有者から一括で借り上げ、転貸する「サブリース」と呼ばれるビジネスをめぐりトラブルが相次いでいる。「長期間の家賃保証」をうたう業者の勧誘を受け、アパートを建築したものの、途中で家賃減額や契約打ち切りを迫られ、ローン返済に行き詰まるオーナーも少なくない。賃貸物件は供給過剰になっているとされており、経営に乗り出すには入居見通しを見極める確かな目が不可欠だ。
「30年借り上げる」「安定した家賃収入が受け取れる」
関東地方の高齢男性は不動産会社にこう勧誘され、3階建てアパート(24部屋)を建築した。アパートは会社が一括で借り上げる形で運営をスタート。しかしその後、1部屋3万5000円だった家賃を「5000円にしたい」と打診され、受け入れなければ「解約する」と迫られた。
提示された金額では、ローンの返済額が家賃収入を上回るのは確実。会社側に「担当者から『30年のローン返済が終わるまで解約しない』と言われ、念書もある」と訴えたが、聞き入れてもらえなかった。
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平成24年に活動を始めた「サブリース被害対策弁護団」には現在、こうした相談が寄せられている。多いのは、遊休農地などを持つ地主が業者から「相続税対策になる」と言われ、アパート建築を決めるケースだ。
勧誘では業者から「30年間アパートを借り上げ、賃料を保証する」と口頭で説明を受けることも多い。契約書にその旨が明記されることもあるが、同時に「業者側から解約できる」といった規定が盛り込まれ、契約期間中であっても解約可能とされていることもある。