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AIで働き先がなくなる?ChatGPTを使ってみました


経済学からみた不動産市場(第47回)

浅田義久
日本大学経済学部教授

 

 なんだか,怖いですよね。AIの進歩で生活はどうなるかって。

 いま,話題になっているChatGPTを使って,私の仕事をしてもらいました。私の仕事(研究?)は実際のデータを用いて,何らかの式を推定するという実証分析ですが,何とこれをChatGPTがやってくれます。データの保存先,推定方法,説明変数,被説明変数をChatするとRという実証アプリでちゃんと推定してくれます。

 しかし,誰でも実証分析ができるようになるかというと,ChatGPTは未だそこまで上達していません。

 例えば,説明変数(例えば,何によって地価が決まるか)や,操作変数法と言った専門用語を十分に理解していないとちゃんとしたプログラムを書いてくれません。なんだか,政治の分野では間違ってレポート書かれる例が多くみられますが,日本では利用率が低いということから,あまり利用されていないから知識が増えてないのではないでしょうかね。計量経済は多くの国で多くの研究者が使っているので日々知識が増えて,プログラム作成が上手になるのではないでしょうか。

私がChatGPTを使ってから1ヶ月ぐらいですが,その間も目に見えて上達しています。この分野のアプリも近年はオープンソースで公開されているものが多く,実証分析では上記のR,GISではQGISなどは世界中の利用者が開発し,無料で公開しているので,どんどん進歩し,マニュアルが間に合っていない状況です。こんな進歩が早い分野を65歳の爺にいうのは無理なはなしです。

 さて,このようなAI?によって人間の労働が不要になるという,経済学的(論理的)にはあり得ません。

 簡単な例を用いてお話しします。いま,消費する財がビールとチーズだけだとします。ビール生産者,チーズ生産者が各々10人にて,100万円の所得を得ているとします。非常に簡単にするために,全員がビールを50万円,チーズを50万円消費するとします。ここで,天才科学者飯田橋博士が200万円で1,000万円分のビールを造るAI(これはロボットですけどモデルは同じです)を発明したとします。飯田橋博士は800万円の所得になって,ビール生産者は無職になりそうですが,どう思いますか?これだと飯田橋博士が10人分のビールを飲まなければいけなくなります。すると,ビール需要は減るのでこのロボットの付加価値は下がってきます。で,最終的にどうなるかというとビール生産者はビール生産かチーズ生産に従事します。なんか安心しそうですが,実は上記の実証分析手法のように競争下では比較優位を保つために努力が欠かせません。特に,生産性があがる分野では特に大変な努力が必要です。みなさん頑張ってください。

 しかし,どちらにしろ,大変な時代が来るかもしれませんね。私の比較優位(これは既にやってますよね)があった実証分析で上記のような速度で改善されたら,それ以上の専門性を持たなければいけないのですが,私の能力では無理ですね。良いときにリタイアできそうです。

 そうそう,下図はChatGPTを使って描いた図です。大分市の市域の変化を分析してるときに使ったのですが,簡単ですよ。 




浅田 義久
浅田 義久
日本大学 経済学部 教授 [経歴]上智大学大学院経済学研究科博士前期課程修了 三菱総合研究所、明海大学等を経て、現職 [専門]経済政策、財政・公共経済
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