不動産市場は売高賃低状態
不動産市場アンケート(2022年3月)結果報告
株式会社タス
株式会社タスでは、新型コロナウイルス感染拡大などが不動産市場に及ぼす影響等について、昨年に引き続きアンケート調査を実施しました。アンケート集計結果について、簡単ではございますがご報告いたします。
調査期間 |
2022年2月24日~3月9日 |
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調査方法 |
メール等によるアンケート送付 |
有効回答数 |
103名
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もくじ[非表示]
- 1.現在の市況と6か月後の市況
- 2.2021年度の繁忙期の状況
- 2.1.続きを読む
現在の市況と6か月後の市況
セクター別で売買、賃貸それぞれの「現在の市況」と「6 か月後の市況の予測」について、回答結果を指数化し 横軸:現在の市況 、 縦軸:6か月後の市況予測 として整理しました。また、首都圏と首都圏以外で分析を行っており、首都圏は緑、首都圏以外はオレンジで示しています。
グラフの右上(第1象限) |
現在の市況が良く、6 か月後の市況の予測も良い |
グラフの左上(第2象限) |
現在の市況は悪いが、6 か月後の市況の予測が良い |
グラフの左下(第3象限) |
現在の市況が悪く、6 か月後の市況の予測も悪い |
グラフの右下(第4象限) |
現在の市況は良いが、6 か月後の市況の予測が悪い |
売買市場
売買市場においては、物流系の好調さが際立っていることがわかります。
新型コロナウイルス感染拡大により、物販系の電子商取引(EC)が急拡大しました。これに伴い、物流系不動産市場は、首都圏・首都圏以外ともに好調であり、6か月後も好調を維持することが予測されています。
物流系とは反対にオフィス系は、首都圏・首都圏以外ともに不調であり、6か月後も復調しないと予測されています。第1回目の緊急事態宣言発出以降、政府はテレワークを推進してきました。大都市圏において企業のテレワーク実施率が向上したことから、オフィスの空室率は悪化傾向にあります。
欧米では、コロナ対策を縮小する動きがあります。いずれ日本も追随することになると考えられますが、コロナ前の状況に戻るかどうかはまだ不明な状況です。
コロナ禍で対面サービスを敬遠する動きが広がったことから、商業系の「現在の市況」は厳しい状況が続いています。制限が全国的に解除された2021年10〜12月期には、商業施設の売上は回復傾向で推移していました。現在の第6波が収束するに従い、商業施設の売買も活性化してくると考えられます。
首都圏と首都圏以外で傾向の違いがあったのが住宅系です。
首都圏では「現在の市況は好調で、6か月後の市況の予測も現状維持」ですが、首都圏以外は「現在の市況は中庸も、今後市況が悪化する」との見方が大勢を占めています。
図1 売買:現在の市況と6か月後の市況(セクター別)
賃貸市場
全体的な傾向は売買と似ていますが、賃貸市場は全体的に第3象限方向にずれており、売高賃低の状況であることがわかります。売買市場では好調を維持している首都圏の住宅系も、賃貸市場では中庸から不調よりに位置しています。
ただし、賃貸住宅市場では間取り別で景況感が大きく変わります(図3)。
首都圏では、家族向けで40%、カップル向けで33%が「非常に良い・やや良い」と回答しています。「やや悪い」との回答は、家族向けで12%、カップル向けで16%となっており、「非常に悪い」という回答はありませんでした。
一方で、単身者向けでは約半数が 「非常に悪い・やや悪い」と回答しており、首都圏の賃貸住宅では二極化が進んでいることがわかります。
首都圏以外では、全ての間取りで「非常に良い」という回答はありませんでした。「やや良い」との回答は、家族向けで13%、カップル向けで23%、単身者向け(20 m²以上)で19%でしたが、単身者向け(20 m²未満)では5%にとどまりました。「非常に悪い・やや悪い」との回答は、家族向けで26%、カップル向けで37%、単身者向け(20 m²以上)で38%、単身者向け(20 m²未満)では53%でした。
首都圏・首都圏以外ともに、面積の狭い単身者向けの市況が悪化していることがわかります。
図2 賃貸:現在の市況と6か月後の市況(セクター別)
図3 賃貸住宅市場における間取り別景況感
2021年度の繁忙期の状況
図4に2021年度の繁忙期の状況をセクター別に整理しました。レーダーチャートの内側にある赤い点線がコロナ前の水準です。
ここでも、売買市場と賃料市場の勢いの差を観察できます。
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