延伸の効果を見てみよう~相鉄線の住宅市場~
2023年3月18日、西谷駅から新横浜駅を経由し、東急東横線・目黒線日吉駅までを結ぶ、相鉄新横浜線・東急新横浜線が開業しました。
この新路線によって、神奈川県央部および横浜市西側と東京都心部が直結し、広域鉄道ネットワークの形成と機能の高度化がなされ、移動時間の短縮や乗換回数の減少など、より快適に目的地に行くことを可能としています。
新路線の開業は不動産市場にも影響を及ぼします。新路線が計画されると不動産投資を検討されている方は不動産の価値が変化するのではないかと考えるのではないでしょうか。
そこで今回は延伸によって対象地域の住宅市場がどう変化したのか見ていきたいと思います。
今回は最近延伸があった相鉄線、その中でも特に都心方面へのアクセスが改善された西谷駅より西側の駅を対象に見ていきます。
もくじ[非表示]
- 1.賃料単価
- 2.売買価格
- 3.おわりに
賃料単価
まず、相鉄線沿線の賃料について、賃料単価の平均値を見てみます。(図1)
図1 相鉄線 賃料単価推移(平均値)
グラフを見てみると、2020年初め頃より相鉄線とJRが延伸したこともあり賃料単価が増加傾向となっていますが、東横線との延伸が発表された2022年1月ごろからも傾きは緩やかにはなっていますがさらに上昇していることが分かります。
つまり、賃貸住宅市場においては相鉄線の延伸の何らかの正の影響があったことが見られました。
売買価格
次に中古マンションの売買価格について見てみましょう。
図2は中古マンションの売買取引データを用いて売買価格を推計し、そこから求めた理論価格単価の平均値を示したものです。
図2 相鉄線 中古マンション理論価格単価推移(平均値)
グラフからも見て分かるように売買価格は先ほどの賃料単価とは逆の動きを見せており、減少傾向を見せています。つまり、売買市場においては相鉄線の延伸によって何らかの負の影響があったことが見られます。
これらのグラフより相鉄線沿線は「賃料は上がり続けているが、売買価格は下落している」というROEの高い沿線になっているということが見て取れるのではないでしょうか。
おわりに
今回は相鉄線沿線の賃貸マンションデータ、中古マンション売買取引データを用いて延伸による住宅市場の変化について調査してみました。
その結果、賃料は上昇したが売買価格は下がっているという興味深い結果を得ることができました。
ただ、今回は沿線全体の平均値をとっているため、より延伸の効果を測るにはさらに細かくエリア分けをし、分析する必要がありそうです。
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※使用データ期間:2015年1月~2023年7月