【土地価格】2012~2021年の10年間推移データ
土地価格の推移は、土地の査定や将来的な収益確保の可能性を検討するためにも重要です。
過去から現在までの変動を見て、「どのような動きがあったのか」「なぜ上昇・下降したのか」などを把握できれば、傾向をつかみやすくなります。
本記事では、国土交通省発表の資料を基に、全国・東京圏※1・大阪圏※2・名古屋圏※3・地方四市※4における2012~2021年の価格変動率と平均価格推移を紹介します。
※1:埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・茨城県
※2:京都府・大阪府・兵庫県・奈良県
※3:愛知県・三重県
※4:札幌市・仙台市・広島市・福岡市
もくじ[非表示]
- 1.変動率の動向
- 2.10年間の土地価格推移
- 3.まとめ
- 3.1.賃貸住宅市場レポート
- 3.2.全国の不動産を評価できる『TAS-MAP』
変動率の動向
土地の価格形成は、その土地の人口増減や金融政策、行政による利用計画の有無などが影響します。明確な価格は定められていませんが、指標となる数値は存在します。その一つが公示地価です。
公示地価とは国土交通省が地価公示法を基に評価する標準地の価格のことで、毎年3月下旬に公表されています。
以下では、2021年3月に発表された『令和3年地価公示の概要』および『変動率及び平均価格の時系列推移表』を基に土地価格の変動率動向を紹介します。
出典:国土交通省『令和3年地価公示の概要』/『変動率及び平均価格の時系列推移表』
全国の変動率
2021年、土地の平均価格は住宅地や商業地などの全用途で下落しています。
西暦 |
全用途 |
住宅地 |
商業地 |
2012年 |
▲2.6 |
▲2.3 |
▲3.1 |
2013年 |
▲1.8 |
▲1.6 |
▲2.1 |
2014年 |
▲0.6 |
▲0.6 |
▲0.5 |
2015年 |
▲0.3 |
▲0.4 |
0.0 |
2016年 |
0.1 |
▲0.2 |
0.9 |
2017年 |
0.4 |
0.0 |
1.4 |
2018年 |
0.7 |
0.3 |
1.9 |
2019年 |
1.2 |
0.6 |
2.8 |
2020年 |
1.4 |
0.8 |
3.1 |
2021年 |
▲0.5 |
▲0.4 |
▲0.8 |
(単位:%)※2010 年平均=100
出典:国土交通省『変動率及び平均価格の時系列推移表』を基に作成
住宅地の地価が下落した理由には、新型コロナウイルス感染症の影響で需要が下がる傾向を示していることが挙げられています。
ただし、中心地で希少価値が高い住宅地や交通アクセスがよい都市近郊の住宅地はこの限りではありません。
商業地の場合は、店舗・ホテルの需要があり土地価格の上昇が続いてきた地域や飲食店が集まっている地域などで下落し、0.8%マイナスとなっています。
出典:国土交通省『変動率及び平均価格の時系列推移表』『令和3年地価公示の概要』
主要都市の変動率
主要都市(東京圏・大阪圏・名古屋圏・地方四市)においても商業地の下落が見られます。主要都市の平均変動率は以下のとおりです。
▼東京圏の変動率
西暦 |
全用途 |
住宅地 |
商業地 |
2012年 |
▲1.7 |
▲1.6 |
▲1.9 |
2013年 |
▲0.6 |
▲0.7 |
▲0.5 |
2014年 |
0.9 |
0.7 |
1.7 |
2015年 |
0.9 |
0.5 |
2.0 |
2016年 |
1.1 |
0.6 |
2.7 |
2017年 |
1.3 |
0.7 |
3.1 |
2018年 |
1.7 |
1.0 |
3.7 |
2019年 |
2.2 |
1.3 |
4.7 |
2020年 |
2.3 |
1.4 |
5.2 |
2021年 |
▲0.5 |
▲0.5 |
▲1.0 |
(単位:%)※2010 年平均=100
▼大阪圏の変動率
西暦 |
全用途 |
住宅地 |
商業地 |
2012年 |
▲1.5 |
▲1.3 |
▲1.7 |
2013年 |
▲0.9 |
▲0.9 |
▲0.5 |
2014年 |
0.2 |
▲0.1 |
1.4 |
2015年 |
0.3 |
0.0 |
1.5 |
2016年 |
0.8 |
0.1 |
3.3 |
2017年 |
0.9 |
0.0 |
4.1 |
2018年 |
1.1 |
0.1 |
4.7 |
2019年 |
1.6 |
0.3 |
6.4 |
2020年 |
1.8 |
0.4 |
6.9 |
2021年 |
▲0.7 |
▲0.5 |
▲1.8 |
(単位:%)※2010 年平均=100
▼名古屋圏の変動率
西暦 |
全用途 |
住宅地 |
商業地 |
2012年 |
▲0.6 |
▲0.4 |
▲0.8 |
2013年 |
▲0.1 |
0.0 |
▲0.3 |
2014年 |
1.2 |
1.1 |
1.8 |
2015年 |
0.9 |
0.8 |
1.4 |
2016年 |
1.3 |
0.8 |
2.7 |
2017年 |
1.1 |
0.6 |
2.5 |
2018年 |
1.4 |
0.8 |
3.3 |
2019年 |
2.1 |
1.2 |
4.7 |
2020年 |
1.9 |
1.1 |
4.1 |
2021年 |
▲1.1 |
▲1.0 |
▲1.7 |
(単位:%)※2010 年平均=100
▼地方四市の変動率
西暦 |
全用途 |
住宅地 |
商業地 |
2012年 |
▲2.1 |
▲1.7 |
▲2.7 |
2013年 |
▲0.3 |
▲0.2 |
▲0.3 |
2014年 |
1.6 |
1.4 |
2.0 |
2015年 |
1.8 |
1.5 |
2.7 |
2016年 |
3.2 |
2.3 |
5.7 |
2017年 |
3.9 |
2.8 |
6.9 |
2018年 |
4.6 |
3.3 |
7.9 |
2019年 |
5.9 |
4.4 |
9.4 |
2020年 |
7.4 |
5.9 |
11.3 |
2021年 |
2.9 |
2.7 |
3.1 |
(単位:%)※2010 年平均=100
出典:国土交通省『変動率及び平均価格の時系列推移表』を基に作成
東京・大阪・名古屋圏域の全用途平均は8年ぶりの下落です。地方四市は上昇しましたが、例年の上昇幅よりも少ない値となっています。
しかし、国土交通省が2021年6月に発表した『主要都市の高度利用地地価動向報告~地価LOOKレポート~』によると、主要都市のなかでも一部の地区では下落・横ばいの地区が減少し、上昇した地区が増加しています。
住宅地におけるマンション販売状況が堅調に推移しているほか、法人投資家などによる商業地の取引が動き始めたことも主な要因として挙げられています。
変動率で傾向をつかむ際は、どの地域・地区も同じように動くわけではないことを考慮することが大切です。
出典:国土交通省『主要都市の高度利用地地価動向報告~地価LOOKレポート~』/『主要都市の地価動向は前期と比較して下落地区数が減少~令和3年第1四半期の地価LOOK レポートの結果~』
10年間の土地価格推移
以下は、国土交通省が発表した『令和3年地価公示』の説明資料として、1988~2021年までの主な都市における住宅地の平均価格を示したグラフです。
▼主な都市における住宅地の「平均」価格の推移
出典:国土交通省『主な都市における住宅地の「平均」価格の推移』
住宅地の平均価格は、33年間で1991年(平成3年)頃をピークに下落、近年は緩やかな上昇傾向を描いています。
では、この10年間で土地価格はどのように推移しているのでしょうか。ここでは、2012~2021年の平均価格の推移を国土交通省の資料『変動率及び平均価格の時系列推移表』を基に紹介します。
全国の価格推移
出典:国土交通省『変動率及び平均価格の時系列推移表』を基に作成
住宅地の平均価格は、2014年以降7年連続で上昇中です。商業地は、2013年から2020年まで上昇を続けていましたが、2021年で下落。工業地は上昇を続けています。
東京圏の価格推移
出典:国土交通省『変動率及び平均価格の時系列推移表』を基に作成
住宅地の平均価格は2014年以降、上昇し続けていましたが、2021年は7年ぶりに下落しました。商業地は、2020年には1平方メートル当たり1,617,500円にまで上昇しましたが、2021年には住宅地同様に下落しています。工業地は堅調に推移しています。
大阪圏の価格推移
出典:国土交通省『変動率及び平均価格の時系列推移表』を基に作成
住宅地の平均価格もわずかながら下落しています。順調に上昇し続けいた商業地の平均価格も2021年には下落しています。工業地は7年連続で上昇しています。
名古屋圏の価格推移
出典:国土交通省『変動率及び平均価格の時系列推移表』を基に作成
住宅地、商業地、工業地のすべてで平均価格が下落しています。住宅地および商業地は8年ぶり、工業地はこの10年間で初めての下落です。
地方四市の価格推移
出典:国土交通省『変動率及び平均価格の時系列推移表』を基に作成
地方四市は住宅地、商業地、工業地の全用途で平均価格が上昇しています。この10年間で上昇と下落を繰り返していた工業地も、2021~2021年は上昇が続いています。
まとめ
10年間の推移を見ると、2012年から緩やかな上昇傾向だった土地価格も2021年では下落に転じた都市が多いです。
しかし、一部の地域では上昇が見られることからも、土地価格には地域差があり、一律同じような動きをしないことが分かるのではないでしょうか。
土地価格の算出には、公示地価をはじめとした公的機関のデータを指標にする方法が一般的ですが、山間部や地方によっては公示地価が設定されていない土地も珍しくありません。このようなケースでは、推移を知る前に土地の評価額を算出することから始める必要があります。
賃貸住宅市場レポート
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