コロナ禍の賃貸住宅市場~神奈川県編~
以前のコラム(コロナ禍の賃貸住宅市場~東京23区編~)では、東京23区におけるコロナ禍の空室率の推移を見てきました。背景として、企業の転勤控えや学生のオンライン授業の拡大等に伴い、単身者の需要が鈍化した一方で、テレワーク制度や外出制限等により、広い間取りを嗜好する人が増加したことを考察しました。
総務省が2022年1月28日に公表した2021年の『住民基本台帳の人口移動報告』(https://www.stat.go.jp/data/idou/2021np/jissu/pdf/gaiyou.pdf )によると、東京23区は転出者が転入者数を上回る「転出超過」となり、これは1996年以来25年ぶりのことです。
増加している東京23区の転出者はどこに移動しているのか、東京23区から近隣3県への転入者数をグラフにしたものが下の図1になります。
図1
図からも見て分かるように東京23区からの転出先として神奈川県が多く選ばれていることが読み取れます。
そこで今回は、東京23区からの転出先として多く選ばれている神奈川県ではコロナ禍の賃貸住宅市場はどのような影響があったのか、直近3年間の空室率の推移から読み解いていきたいと思います。
図2
図2は2019年11月から2022年10月までの神奈川県における間取り別の空室率の推移を示しています。
ワンルーム、1Kのような単身物件の空室率は2021年11月までほぼ横ばいとなっており、それ以降は低下傾向にあります。特に直近6ヶ月はコロナウイルス流行前よりも空室率が低く、今後も好調傾向が続いていくものと推察できます。同様に1LDKについてもコロナウイルス流行前と横ばい、もしくは低下傾向にあります。
1LDKを40㎡未満と40㎡以上の二つのグループに分けた結果、40㎡未満の空室率については2021年5月ごろより少々上昇傾向となっているものの2022年3月ごろからは再び低下傾向となっています。40㎡以上については2020年ごろから低下傾向が続いており非常に好調となっています。
この結果から、神奈川県については東京23区ほどコロナウイルスの影響を受けておらず、堅調に推移しています。また、テレワーク等の普及により、広い間取りを志向する人も今までよりも増加してきているため、今後の神奈川県の空室率もより堅調に推移するものと考えられます。
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