タス・メタバース
■summary
- メタバースとは?
- タス・メタバースへようこそ
- タネあかし
◆メタバースとは?
メタバースは、インターネット上の仮想空間であり、利用者はアバターを操作して他者と交流するほか、仮想空間上での商品購入などの試験的なサービスも行われている。技術の進展とサービス開発によって、メタバースの世界市場は2021年に4兆2,640億円だったものが2030年には78兆8,705億円まで拡大すると予想されている。(令和4年 情報通信白書より)
フェイスブック社が2021年に「メタ」と改称したように、メタバースは今後大きな成長が見込まれる分野です。不動産テックのプレイヤーにおいても、オンライン内見をはじめとして現実空間と仮想空間を活用したビジネスは広がりを見せています。今回は、時代の最先端!?不動産評価とメタバースの世界「タス・メタバース」(注1)の旅に出かけましょう。
◆タス・メタバースへようこそ
タス・メタバースの世界では、空を飛ぶことも自由自在。東京都文京区西片一丁目付近を飛んでいるあなたは、特殊なゴーグルをかけることで街中の不動産の推定価格が見えてきました(図1)。道路上に矢印で浮かび上がっているのは、タスの土地建物評価で用いられている相続税路線価です。地価が高いエリア、建物も含めた不動産価格が高いエリアなど、この街には様々な表情があるようです。
図1 タス・メタバース 上空からの風景
より詳しく知りたいと思ったあなたは、もう少し高度を下げて、地表に近づいてみることにしました(図2)。高台にある建物、大通り沿いの建物など、それぞれの個性が見えてきます。よく見ると、一つひとつの不動産に値札が付いています。なんて明朗会計なんでしょう! 地表に近づいた分、相続税路線価一歩一本の価格も良く見えてきました。
図2 タス・メタバース 地表付近の風景
◆タネあかし
さて、今回の試みはどのような仕組みで出来上がっているのか、特別に種明かしをしたいと思います。ご紹介したメタバースの世界は、次のような3つの「空間データ」を組み合わせることで実現しています。
図3 出典元一覧
建物や相続税路線価は、「形状」に関するデータを持っており、これをGISソフトに読み込ませることで、立体的に表現することが可能です。技術的な詳細について知りたい方は、弊社のグループ会社のコラム「3D 都市モデルを QGIS で表示してみる」をご覧下さい。
話を戻して、一棟一棟の不動産についている「値札」についてはどのように作られているのでしょうか。
土地と建物の推定価格をそれぞれ算出し、これを合算することで、推定の不動産価格としています。土地は、TAS-MAPの土地建物評価で使われている相続税路線価を地価公示レベルに割り戻し、建物3Dモデルから算出した建坪面積と指定建蔽率から仮定した敷地面積を乗じることで算出しています。建物は、建物3Dの高さデータから階数を仮定した上で、2階以下の物件を木造、3階以上を鉄筋コンクリート造と仮定しました。これと、階数と建坪面積から算出した延べ床面積に、土地建物評価で使用している標準単価を乗じることで建物価格を算出しています。今後、築年数など他のパラメータを整備することで、より精緻な価格推定が可能となるでしょう。
◆おわりに
今回は、不動産評価をメタバースの世界で体験する試みについて紹介しました。タスでは、見えない「価値」を見えるカタチにというミッションに向けて、取り組んでおります。不動産マーケット分析「ANALYSTAS」では、上記をはじめとする不動産データベースを活用したカスタマイズの分析を承っております。ご興味をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。
注1:本コラムで使用した画像は、仮想空間上に表現した際の見え方のイメージを表現したものです。商品は企画構想段階であり、今後変更される可能性があります。