話題のエイジテックとは? 主なサービスと市場規模を解説
高齢者向けにつくられたテクノロジーサービス“エイジテック”が話題となっています。この背景にあるのが、高齢者向け市場の拡大です。
内閣府の『令和3年版高齢社会白書(全体版)』によれば、2020年10月1日時点での総人口における65歳以上の高齢者の割合は28.8%。2036年には33.3%、2065年には38.4%に達すると推計されています。高齢者の割合が高まるとともに、高齢者向け市場も拡大していくと予想されます。
今後も高齢化が進む日本において、需要が拡大するエイジテック市場は、企業が利益を上げる一つの方法として活用できます。そこで本記事では、エイジテックの主なサービスと市場規模について解説します。
出典:内閣府『令和3年版高齢社会白書(全体版)』
もくじ[非表示]
- 1.エイジテックとは
- 1.1.①高齢者が自ら利用するサービス
- 1.2.②個人が高齢者のために利用するサービス
- 1.3.③企業や行政が利用するサービス
- 1.4.④若年層が将来に備えて利用するサービス
- 2.エイジテックの市場規模
- 3.税理士事務所がエイジテックサービスを展開するには
- 4.まとめ
エイジテックとは
エイジテックとは、高齢者が直面する生活や健康に関する課題を解決したり、サポートしたりするためのテクノロジーです。
高齢化社会や超高齢社会の課題を解決するテクノロジーとして注目されており、主に次の4つのサービスに分けられます。
①高齢者が自ら利用するサービス
エイジテックのサービスのうち、よく目にするのが高齢者の身体機能が低下することで起きる課題を解決するサービスです。
たとえば、「手足が思うように動かせずに移動手段の確保に困っている」「耳が遠くコミュニケーションがうまく取れない」など、高齢者が日常生活で直面する課題はさまざまです。
経済産業省医療・福祉機器産業室の『経済産業省における介護イノベーション推進策』では、高齢者や介護現場のニーズへの対応として、ロボットを用いた動作支援や排泄予測を行う介護機器の開発・導入を促す体制について示されています。
▼高齢者が自ら利用するサービスの例
- 食生活を管理するアプリ
- 排泄を管理するアプリ
- 健康を管理するウェアラブルデバイス
- 高齢者の孤独を防止するロボット
- 相続や葬儀関連の終活サービス
- 移動手段の乗り合いサービス など
いずれも、高齢者のニーズをテクノロジーを活用して解決するサービスです。基本的には高齢者が自身で利用するサービスであるため、直感的で分かりやすい操作性も求められます。高齢者の課題を解決へ導くサービスは、高齢者自身が利用することで日常生活をサポートするため、今後さらに需要が高まると考えられます。
出典:経済産業省医療・福祉機器産業室の『経済産業省における介護イノベーション推進策』
②個人が高齢者のために利用するサービス
個人が高齢者のために利用できるエイジテックサービスもあります。
たとえば、コミュニケーションを支援するITツールやビデオチャットを活用することで、高齢者と離れた場所にいる家族がいつでも顔を見て話をすることができます。このようなサービスを利用することで、高齢者のサポートや高齢者との円滑なコミュニケーションを実現できるようになります。
▼個人が高齢者のために利用するサービスの例
- コミュニケーションを支援するITツール
- ビデオチャット
- ホームアシスタントシステム
また、家庭での日常生活をサポートする目的で開発されたホームアシスタントシステムを使えば、身体機能の低下で生じるさまざまな課題をテクノロジーで解決してくれます。
③企業や行政が利用するサービス
高齢化に伴い、今後さらに介護人材の必要数が増加すると見込まれるなか、企業や行政が利用することで医療従事者や介護人材の業務効率化が期待できるエイジテックのサービスも注目されています。
▼企業や行政が利用するサービスの例
- オンライン診療システム
- 電子カルテ
- 介護ロボット
- AIによる認知サポートや診断支援
たとえば、介護ロボットやAIによる診断支援を導入すれば、介護人材が少ない現場でも、円滑に業務を回せる環境を整えることが可能です。
④若年層が将来に備えて利用するサービス
現在若年層の世代の人も、いずれは高齢者になります。エイジテックでは、若年層である個人が将来に向けて利用することが想定されるサービスもあります。
▼若年層が将来に備えて利用するサービス
- 将来の健康リスクに備えたウェアラブルデバイス
- 遺伝子検査
- 健康管理アプリ
現代の若年層は高齢者よりもデジタルツールに慣れ親しんでいる世代です。そのため、デジタル化された健康管理への高い需要が見込めます。
エイジテックの市場規模
前述したように、エイジテックの市場規模は今後拡大し続け、2025年には約300兆円の市場規模になるといわれています。
日本におけるエイジテックはいまだ発展途上ではありますが、今後さらに高齢化が進むにつれて、徐々に発展していく可能性は極めて高いと考えられます。
具体的な根拠として、日本における高齢者の割合と市場規模の拡大が挙げられます。内閣府『令和3年版高齢社会白書(全体版)』では、2065年には約2.6人に1人が65歳以上、約3.9人に1人が75歳以上になると推測されています。
また、高齢者の増加に伴い、高齢者向けの市場も拡大が見込まれます。総務省『超高齢社会の現状とICT利活用』では、高齢者向け市場は、2025年までに101.3兆円にまで拡大すると見込まれています。エイジテックは、長く続く高齢化社会で、国内需要を強く牽引する存在になると予測できます。
出典:内閣府『令和3年版高齢社会白書(全体版)』/総務省『超高齢社会の現状とICT利活用』
税理士事務所がエイジテックサービスを展開するには
税理士事務所や弁護士事務所がエイジテックを展開する場合、相続や不動産売却に関するサービスを取り扱うことも一つの方法です。
相続税や不動産売却について、「法律や税金の仕組みが難しい」「誰に相談すればよいか分からない」とお悩みの高齢者の方は多いのではないでしょうか。
この悩みを解決する方法の一例に、相続税や不動産売却の相談、簡易的な申告の手続きをWeb上で行うシステムサービスがあります。これは、簡易的な申告手続きを高齢者自身で進められるようにと開発されました。
高齢化による死亡者数の増加により、終活や相続手続きに関連したサービスは今後もニーズが拡大すると予想できます。
ITに不慣れな高齢者がエイジテックのサービスを活用できるかという課題はありますが、 これまでの高齢者向けサービスでは実現できなかったことが、エイジテックなら実現可能になります。
まとめ
今回は、注目のエイジテックについて、以下の項目で解説しました。
- エイジテックの概要と主なサービス
- エイジテックの市場規模
- 税理士事務所で展開できるエイジテック
エイジテックは、日本ではいまだ発展途上ではあるものの、今後世界的に市場規模の拡大が見込まれるテクノロジーサービスです。
前述した、高齢者が自身で相続税の申告書を作成できるエイジテックのサービスをはじめとして、今後はさらに各企業の参入が予想されます。これを機に、エイジテックのサービスを展開して、相続の手続きや不動産売却のサポートを行ってみてはいかがでしょうか。不動産業界に参入して顧客のニーズに沿った対応を行うことで、顧客の獲得、さらに売上の向上を目指せます。
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